『これから手帳』とは?
これから手帳は、高齢者が自分らしく暮らし続けることのサポートを目的に、専門職間の連携ツールとして、21の医療・介護の専門職等の団体「自立支援多職種ネットワーク推進会議」により開発された手帳です。
その後、実際に手帳を活用した専門職等の意見をもとに改定され、「これから手帳」と別冊ノート「わたしの想い」にリニューアルされました。現在は、広島県地域包括・在宅介護支援センター協議会が中心となり、手帳の発行や活用マニュアル等の作成を行っており、地域の専門職や県内の老人クラブ等での活用が広がっています。
高齢期を迎えても“自分らしく暮らし続ける”ために、「これから手帳」と 別冊ノート「わたしの想い」を活用し、「今の生活とこれからの暮らし」について考えます。 介護が必要になった時、想いを伝えられなくなる前に、自身が望む暮らし方、大切にしていることを書き留めて、これからの生活を充実したものに変えていくのが「これから手帳」です。
■ 「これから手帳と多職種ネットワークについて」(説明動画:7分41秒)
『これから手帳』活用マニュアル
■ 「これから手帳」と多職種ネットワーク(説明スライド9枚/説明シナリオ付7分30秒).pptx
■ 「これから手帳」と多職種ネットワーク(説明スライド9枚)
『これから手帳」活用ロールプレイ動画
本協議会の研修委員が、ケアハウス利用者と相談役になって、「これから手帳」の活用について実演しています。(動画時間:21分)
『これから手帳』を活用した取り組みについて
■「これから手帳」を活用した取り組みについて
広島市三和地域包括支援センター センター長 黒木 勇治
本センターでは、地域のサロン等で元気な高齢者の方々を対象に「これから手帳」を活用した勉強会を実施しています。「これから手帳」には、 自立を支える専門職が考案した“自分らしく暮らし続ける”ために重要な6つの質問とアドバイスが書いてあります。
【これから手帳に記載の6つの質問】
1.楽しみなこと
2.食べ物の好み
3.親しい人物
4.日々、身体を動かしていること
5.健康のために気を付けていること
6.これからしてみたいこと
勉強会では、地域包括センターの職員がこの一つ一つの質問の意味について説明を行い、参加者ご自身について振り返って頂く機会をもつとともに、「別冊ノート~わたしの想い~」に質問の回答を書いてもらい、大切に保管しておくことをお願いしています。
実際に、勉強会の参加者からは、「これからについて考える機会をもつことができてよかった」、「自分の望みを書き留めておくことができてよかった」、「書いたことを家族や周りの人に伝えたい」という感想を頂いています。本センターの広報誌で、この手帳について紹介した際にも「これから手帳をください」「これから手帳についての勉強会をうちのサロンで開いてほしい」等の反響を頂き“自分らしく暮らし続ける”ことに対する高齢者の方々の意識の高さを感じ、その想いに寄りそった支援に取り組んでいきたいと考えています。
例えば、もしも、病気や事故などで、ご本人がお話できなくなった場合等にも、これから手帳に書かれていることをもとに、ご本人の想いを大事にした支援につなげていくことができると思います。
その為にも、年を重ね、想いが変化された場合には、改めて想いを書き留めておいて頂くことと日常的に介護保険証やお薬手帳等と一緒に携帯していただくことをお勧めしています。
また、「これから手帳」は、近年、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の取り組みの実施前に活用するツールとして広島県医師会からも期待されており、「これから手帳」を通して、これまでの自分について振り返り、“自分らしく暮らし続ける”ための想いを確認しています。
しかし、手帳の活用が今後さらに期待されている中で、三和圏域内でも「これから手帳」の存在をまだ知らない地域住民、専門職の方たちが多いのが現状です。
本センターは、引き続き、地域のサロン等で「これから手帳」を活用していくことと併せて、地域ネットワーク等を活用した「これから手帳」の広報活動、専門職への勉強会にも力を入れて取り組み、“自分らしく暮らし続ける”ことのできる地域づくりを担っていきたいです。